CRIMSON/GANG's blog @SailGP

「既存の選択肢にとらわれない方法を示す」を理念に活動するRowing Teamです。CEO:Yuki Kasatani

配られたカードで勝負するしかない。

全日本予選まで残り10日もない。リズムが表現できない。加速感と長さが足りない。弾けるトップスピードが出ない。出したスピードを維持できない。無いものねだりをしても仕方が無い。やるしかない。

 

追い詰められているような冒頭の文章とは裏腹に、筆者はあまり負ける気がしていません。鈍感なだけかもしれませんが、レース前に弱気になることはほとんどないです。それは、相手との勝ち負けと同じくらい、自分の最大限の漕ぎや限界破壊ができた時の達成感を求めているからだと思います。レースはそれらが達成しやすくなるために観客や相手がいる舞台という考えです。

 

久しぶりの2000mレース。あの緊張感と高揚感が待っていると思うと、ワクワクが止まりません。

 

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「できること」より「やること」はずっと難しい

「決勝の緊張感」とか「プレッシャーの中で出せる力が実力」とか、スポーツの決勝ではいろんな言われ方をする。10回やって9回勝てるチームでも、決勝では決勝で勝てないと意味が無い。10回やって9回負けるチームでも、決勝で勝てる1回が出せれば「最強のチーム」だ。「痛恨の一撃」と「会心の一撃」だ。

「勝てる実力があること」と「実際に勝つこと」には大きな違いがある。でも、おそらく優勝争いをするトップレベルのチーム同士には実力に大きな差は無い。違いは、「勝つ」か「負ける」かの結果の違い。勝負の世界は本当にシビアだ。だからこそ、優勝チームは称えられ、他のチームは優勝の栄冠を目指して戦い続けるのだろう。だからこそ、夏の熱戦は観客を魅了し続けるのだろう。今年も本当に熱い戦いでした。そして、大阪桐蔭、優勝おめでとう。

 

そんな全都道府県のガチトーナメントである甲子園の一方、ボートのインカレは時期的に全日本の前哨戦であり、全日本までにどれだけ課題を修正したり、持ち味に磨きをかけるかが重要だ。インカレで勝っても全日本で負けたら微妙な最後になる。一方、インカレで悔しい思いをしたクルーは全日本で全部引っくり返すしかない。特に今年で引退する最高学年の大学生は最後のボートの試合となるだろう。強気の気持ちで望む学生クルーと全日本で戦えることがとても楽しみである。

 

夏の熱戦が終わり、気づけば日が沈む時間も早くなっている。全日本はもうすぐだ。

 

並べりゃいいってもんじゃない

今週の土日はインカレを直線にして仕上げてきている大学生クルー×4と並べを実施。(当然のことながら)一回一回の並べで全力を出した結果、疲労感と共に充実感も多かった週末だった。各大学の皆さん、ありがとうございました。

 

CASE.1

荒川での並べ。前日に艇庫に行って直談判した結果、広い心で並べを受けてもらえた。相手のCOXは川での練習が初めてとのことで、安全第一で並べを実施。中レートでは何とか勝てたものの、メニューの後半はバテバテになってしまう傾向が如実に現れ、レースレートでは惨敗。。。前評判の高い大学ということもあり今の段階では勝てなかったものの、全日本までに確りレースペースでのリズムと大きさを共有して、リベンジを誓う。

 

CASE.2

コースでの並べ。1週間前から元々並べを御願いしていたこともあり、こちらはやる気満々。スタートは出たからコンスタントで引き離そうとしたものの、リリースまでの押し切りが弱まる傾向が如実に現れ徐々に詰められる。勝ったものの、反省点の多い並べであった。。。

 

CASE.3

「CASE.2の大学とで並べた後はどうする?別のところと並べようか♪」という思い付きから急遽並べを申し込み。CASE.2から30分後の並べ。こちらが疲れていたこともあったものの、相手が速かった。かなりの差をつけられての敗北。でも全日本まで確りリズムと大きさの共有ができれば勝てないことは無いはず。。。

 

CASE.4

1000mの並べ。週末練習最後ということで、多少の疲れを抱えながら挑んだ。結果は惨敗。CASE.3程の圧倒的な力は感じなかったものの、現時点では素直に負けを認めるしかない。。。

 

《まとめ》

並べではレースに近い環境で質の高い練習ができた。しかし、自分達のクルーの狙いをもって並べに挑んだものの、狙いに対する取り組みが十分ではなかった。また、COXのコールに対する反応がイマイチだった点も反省点だ。特に、ラストスパートに対する反応は、大いに改善する必要がある。これらの課題を元に各自がどれだけ真摯に取り組むかということが、我々クルーの全日本におけるパフォーマンスに大きく影響するだろう。がんばらんば。。。

 

 

 

 

 

 

 

推薦図書(シングルスカラー向け)

インカレまで残り1週間を過ぎた。レース期間は時間的余裕があり、過ごし方もそれぞれだろう。久しぶりに見るOB・OGと話す人、ニコニコ動画Youtubeを観る人、漫画を読む人、モチベーションアップのための動画を観る人etc..。筆者もいろいろな過ごし方を試してみたが、やる気の出るスポーツ漫画を読むのが精神的に一番という結論に至った。少なくとも「闇金ウシジマくん」のような漫画は避けるべきだろう。(浮足立っている選手には読んで気持ちを落ち着ける効果があるかもしれないが)

 

さて、特に過ごし方に拘りの無い人は以下の本を読んでみては如何だろう。いずれも、オリンピックを目指したシングルスカラーの物語だ。割と有名なものなので既に読んだ事がある人も多いだろう。

  

 1.「スローカーブを、もう一球」

スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))

スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))

 

ノンフィクションのスポーツ小説の短編集である。その中にボートに関する話「たったひとりのオリンピック」 が収録されている。浪人した末に入学した大学で麻雀にハマり、漫然とした日々を過ごしていた大学生がとっさの思いつきでマイナースポーツのオリンピックを目指すというものだ。全くの初心者の状態から日本で敵無しになるまでに、主人公は自分個人のチーム「ザ・トールキング・クラブ」を創設して戦い抜く。ボートを優先するために職を転々とし、大学生でコースが混雑する時間帯を避けてトレーニングに励む日々。艇やオールを自分が良いと思うように改良し、周囲が薦める漕ぎのセオリーは聞かずに欧米で主流となっている漕法を参考にする等、自分で考えた方法でボートに打ち込んでいく。そんな風にボート一筋で取り組んだ主人公の結末は。。。

「たったひとりのオリンピック」以外にも素晴らしい話が収録されており、ページ数もあまり多くなく短編集でさくっと読めることから、是非とも読んでほしい一冊である。

 

2.「The Amateurs」

The Amateurs: The Story of Four Young Men and Their Quest for an Olympic Gold Medal

The Amateurs: The Story of Four Young Men and Their Quest for an Olympic Gold Medal

 

 こちらは洋書。邦題は「栄光と狂気」で日本語版も出版されている。題名にある通りボートはプロスポーツではないため、意識するかどうかはともなく、最終的な目標はアマチュアの祭典であるオリンピックである。その悪魔的な魅力に憑かれた男達の壮絶な物語だ。米国のシングルスカラー達のノンフィクション物語であり、スカラーの気持ちがリアルに描かれている。「エイトでオリンピックに優勝しても自分の力で勝ったとはいえないが、シングルスカルの優勝なら間違いなく自分の実力だ」という点は、シングルスカルで戦いたいと思った人なら一度は考えたことがあるのではないだろうか。

分量は多いものの、読む価値のある一冊だ。筆者はなかなか気が進まない英語の勉強に対して、本書はオアシス的位置づけで読んでいた。

 

漫画の「レガッタ 君といた永遠」も面白いのは確かだが、主人公の大沢が超絶過ぎて、ヒロインの操があまりにも節操無くて、やはり漫画というフィクションの要素が強い。もうちょっとリアルなボートの物語が読みたい人には上記2冊はもってこいだろう。

 

夏の仲間にありがとう

今のクルーを組んで約5ヶ月が経った。今のクルーのメンバーのうち、ある選手は約2年間のブランクを乗り越えてトレーニングに励み、ある選手は急遽勤務地が名古屋になっても毎週欠かさずに戸田に来てクルーの練習に参加している。そういった人達と数々の試練を乗り越えながら全日本を目指して頑張れることは、学生時代には無かったボートの醍醐味である。全日本の結果がどうあれ、このクルーで戦った半年間はかけがえの無い想い出だろう。。。。

 

なんてことは、全日本が終わってからしみじみと思い返せばいいだけだから、全日本までシビアに艇速追求していきます。今日も並べで勝ったけど、自分たちの速度はまだまだ全然だから、こっから更に速くなれます。

 

「No Limit for Red Brade」

逆境フォア

逆境ナインという漫画がある。筆者が学生時代に読んだ本の中でも、特に影響を受けたと言える本のひとつだ。どんな逆境でも決して諦めないというスピリットはもちろん、「それはそれ、これはこれ」等、アスリートが自身の競技生活に集中する上で折り合いをつける方法についても学ぶことができた人生の教科書である。

「校長!ここのスミにでっかい優勝旗を置きたいとは思いませんかっ!」

そう。「何をしたいのか」が重要なのだ。目標までの距離は関係ない。

一方、われわれクルーはまさに「逆境フォア」とも言うべき状況に陥っている。リズム、水中のプレッシャー等、噛み合わない点が多すぎる。大学を卒業してから1年目にM1Xで銅、2年目にM2+で金と来ており、人数を増やしながら挑戦のハードルを挙げている3年目。「そろそろメダルは厳しいかな・・」という思いが脳裏をかすめる一方、得意のラストスパート張りに無心に最後まで艇速を追求していきたいものだ。

 

そんな逆境フォアにも 良いニュースがあった。

「本日、昨年度インカレM4+優勝の大学にM4+の並べで圧倒的勝利」

もちろん、クルーが変われば状況は変わるし、相手のコンディションもあるし、学生クルーはこれから鰻登りに艇速が上がることも理解しているが、現クルーでは久しぶりに良いニュースとなった。

 

戸田公園駅前のサミットが復活

戸田公園のサミットが復活。抜群の立地、長い営業時間のサミットの復活により、周囲の店の売上が下がってしまうことになるだろう。売れる店がある一方、売れない店がある。引退する4年生がいる一方、新たに入ってくる1年生がいる。そして、勝つ者がいる一方、負ける者がいる。

国体近畿ブロック予選は4位でM4+での本選出場は叶わなかった。直近2年間は1位通過を続けていただけに、とても残念な結果となった。やはり、選抜クルーである以上、個の力が肝となる。クルーを組んでその場でリズムや大きさを共有できる力、艇を進められる力等が、自分を含めて例年に比べて劣っていたのかもしれない。

本選にはM2Xで出場する可能性は残っているものの、やっぱりM4+で出たかった。。。M4+で出れないなら、World Coastal Champianshipの出場も検討しようかな。。。

 

全日本クルーはバウサイド整調での練習。やっぱリズムと大きさと水中の強さがイマイチだから艇はスムーズには進まない。。。「自分が自分一人の力で、チームを勝たせる。そんな気持ちを全員が持てばすげーチームになるんだよな」というフレーズをどこかで見たことがある。この言葉の解釈として、ボートにおいては、個人ががむしゃらに漕ぐのではなく、「俺がストロークでリズム作って後ろが漕ぎやすいように漕がせてやってるから勝てるんだよね♪」とか「俺が3番でストロークのリズムを上手く伝えて、周りが漕ぎやすい環境を作ってるから勝てるんだよね♪」とか、個人がクルーに果たす役割を確り果たすとことでクルーの完成度が高まるというように筆者は解釈している。野球のように、エースが一人で三振の山を築くなど、圧倒的な個の力でねじ伏せる場面もあるだろうが、ボートはその要素は弱まるだろう。だからこそ、今のクルーでも確りとクルーの狙いをみんなで達成する必要がある。

 

全日本まで1ヶ月ちょいの中、公私共にがんばらんば。。。