CRIMSON/GANG's blog @America's Cup

「既存の選択肢にとらわれない方法を示す」を理念に活動するRowing Teamです。CEO:Yuki Kasatani

【番外編】「なぜボート選手がセーリングのプロチームのメンバーに選ばれたのだろうか」。僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの。

SottBank Team Japanでの活動が始まって約1ヶ月が経過した。一橋大学卒業・総合商社出身という経歴が詐欺とも言えるレベルで英語ができないものの、「なんとなくこういう事を言っているような気がする。。。」というテレパシー能力を駆使して相手の意図を読み取り、アニメや漫画で学んだ簡単な英語と大げさなジェスチャーで自分の意図を伝えるというサバイバル生活が続いている。

 

現時点で特に役立ったのは、漫画「テニスの王子様」で主人公の越前リョーマが使っていた以下のフレーズ。

「You still have lots more to work on...」

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※「You」の部分は「I」に変えて使用。主人公がドヤ顔で放つ決め台詞も、「I」に変わった途端、「私なんてまだまだです。。。。」と切実に謙遜の意を示すなんとも侘びしい台詞となる。

 

さて、そんな自分が今回セーリングのプロチームに選ばれた際、皆さんから様々なメッセージをいただいた。一番多かったのが、「なんでヨットなのかよくわからないけど、すごそう!頑張って!」という趣旨のメッセージだ。

 

「なぜボート選手がセーリングのプロチームのメンバーに選ばれたのだろうか」

至極まっとうな疑問に関して自分なりの結論は以下のとおり。

 

「もちろんセーリングの知識はある程度必要だけど、知識に加えてレース中に力強く動き続けられるフィジカルを持ったアスリートが必要だから」

 

順を追って説明しよう。

 

アメリカズカップで使うヨットは、デカくて重くて速い。前回大会で使われたAC72は、高さ約40m、重さ約6トン、最高速度は時速約90km(今回の大会で使うヨットはもう少し小さい)。そして、オリンピック競技のセーリングとは全く異なる。ボートで例えると、公園の手こぎボートとエイトくらい違う。ガンダムで例えると、ボールとサイコガンダムマークⅡくらい違う。

《AC72》

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《五輪種目である470級》

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・デカいヨットを操るクルーの中には、ヘルムスマン(舵取り)やトリマー(帆を操作する人)の他に、グラインダーというポジションがある。今回SoftBank Team Japanが日本人クルーの選考で募集したポジションはグラインダー。グラインダーはウインチ(巻き上げ機)を動かすポジションであり、マッチョのポジション。

 

アメリカズカップで使うほどのヨットはウインチもデカく、動かすのも大変。そして、ウインチは帆の操作のみではなく、ヨットの細かな操作に用いられる油圧のエネルギー補給にも使われる。そのため、ウインチを動かし続けないといけない。

 

・そこで、身体能力のテストを中心としたトライアルを実施。トライアルの種目のひとつにボート選手には馴染み深い2,000mローイングエルゴメーターがあるという幸運にも恵まれ、運良く自分が選ばれた。

 

自分はボートの軽量級にも挑戦していたということもあって全然マッチョではないが、周りのメンバーは全員マッチョ。体重100kg近いメンバーも数人いる。そんなマッチョメンバーの仲間入りを果たそうと、日々トレーニングに励んでいる。

 

トレーニングで使う器具の中に、実際のウインチの形に似たアッパーボディーエルゴメーターがある。以下の動画の38秒目ほどにある、自転車のペダルを上半身で動かすような機械だ。

www.youtube.com

 

他チームのグラインダーの中には、最大1,300ワットほどの出力を出せる人がいるらしい。実際にはもっと出力のある選手もいるかもしれない。なお、日本ボート協会がワットバイクという機械でトライアウトをしているが、下半身ですら1,300ワットを出している人は少ないようだ。それを上半身でやらないといけない。そして、実際のレースでは20分強の中で高い出力を保ち続けないといけない。これはマッチョにならないといけない。

 

最初の頃はそもそも負荷が高すぎてまともにウインチを回せないという状況が続いたが、徐々に回せるようになってきた。ボートやオフィスワークが恋しくなる瞬間が無いことはないが、それらは一旦忘れて今の目標に向かって打ち込むつもりだ。

 

《参考情報》

SoftBank Team Japanの活動について

ホームページ:http://team-japan.americascup.com/en/home.html
Facebookhttps://www.facebook.com/SoftBankTeamJapan/?fref=nf

バミューダについて
26秒目からバミューダの景色が映っています。
https://www.youtube.com/watch?v=DeWBBAnQB_E

《今後の大会スケジュール》(予定)
ルイ・ヴィトン アメリカズカップ ワールドシリーズ(LVACWS)
・第5戦: ニューヨーク(アメリカ) 2016年5月7日から5月8日
・第6戦:シカゴ(アメリカ) 2016年6月11日から6月12日
・第7戦:ポーツマス(イギリス) 2016年7月23日から7月24日
・第8戦:トゥーロン(フランス) 2016年9月10日から9月11日